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何か印象的な人だった。   

Excite <訃報>小田切みきさん76歳=女優

「生きる」(1952年)で志村喬の相手役を務めた小田切みきさん。
あの映画の印象的な重要な役どころ、おかげでしっかり記憶に残っています。

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この映画は好きで何回も観ていますが、彼女どこかで観た記憶が有ると思っていたら「ひめゆりの塔」にも出ていたのですか。ちょっと濃い顔でしたから印象が深い。
「七人の侍」に出て来る方とは全くおもむきが違う。
あの時代の黒澤作品に出ていた方はもうほとんどおられませんので貴重な方でしたが残念ですね。

合掌。


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人間の生と死、この永遠のテーマに黒澤が挑んだ作品。
十分考えさせられる映画です。
一度ご覧になって下さい。お薦めです。






 小田切みきさん76歳(おだぎり・みき<本名・四方美喜=よも・みき>女優)11月28日、心不全のため死去。葬儀は関係者で済ませた。自宅は神奈川県鎌倉市七里ガ浜東5の9の6。喪主は夫で俳優の安井昌二(やすい・しょうじ<本名・四方正雄=まさお>)さん。

 黒沢明監督の映画「生きる」(1952年)で志村喬の相手役を務めた。他に映画「ひめゆりの塔」「十代の性典」など。二女晴美さんは子役としてテレビドラマ「チャコちゃん」シリーズに主演した。


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一枚のレントゲン写真がある。その写真には末期の胃がんの病状が写されていた。

とよに靴下を買ってやった渡辺は喫茶店に誘った。とよは市役所の連中に“あだ名”を付けていた。 “なまこ”「・・・?」「あの人よ、ぬるぬるしていてつかみ所がないでしょ」「なるほど」 “ドブ板”「・・・?」「365日、じめじめ」「あいつだな」思わず、渡辺も笑う。 “蝿取り紙”「あっちにベタベタ、こっちにベタベタ」「ハハハッ」
「課長さんにも付けてあるのよ」「ほう・・・?」「・・・ミ・イ・ラ」 ・・・渡辺は納得した。自分は長い間、生ける屍だったのだから。
その後、パチンコ屋、スケートリンク、遊園地でとよと過ごす渡辺。とよの屈託の無い若さにすっかり魅了されるのだった。

渡辺はそれから5ヵ月後に死んだ。渡辺は雪の降る中、出来上がったばかりの公園で死んでいたのだ。
渡辺の家で通夜が営まれた。市役所の同僚、部下、上司が集まった。
渡辺は凍死した、いや、自殺したのだ、いや、実は胃がんだった、しかし彼はそれを知らなかった、いや、知っていてその上で公園を作ったんだ。話は紛糾する。
助役(中村伸郎)は、「あの公園を作ったのは渡辺君という人がいるが、違うね、そりゃ、彼が色々苦労したのは知ってるがね」と、いかにも自分が公園作りの一番の功労者だと言わんばかりの発言をすると、皆は納得するように頷く。
ただ一人、木村(日守新一)だけは、渡辺の尽力がなければ、あの公園は絶対出来なかったのだと、渡辺を弁護した。

公園作りの陳情に来た主婦達が連れ立ってやって来た。渡辺の遺影に焼香すると、すすり泣く。渡辺の働きに心から感謝し、その死が信じられないのである。

部下の大野(藤原釜足)は、渡辺の後について、様々な課を歩き回った。水道課、公園課、助役室・・・そして、ある日、地元のヤクザにからまれる一幕さえあったのだ。
大野「・・・課長は腹が立たないんですか・・・こんなに踏みつけにされて・・・」
渡辺「いや・・・私は・・・人を憎んでなんかいられない・・・私には・・・そんな暇はない」
渡辺は粘り強かった。断られても断られても何度も粘り強く説いた。
助役などは渡辺の話をまともに取り上げなかった筆頭の人物なのである。大野は当然、そのことは知り尽くしているが、役人の悲しいさがであろう、助役に頭が上がらないのだ。

警察官が来た。あの公園で渡辺の帽子を拾ったといい、届けに来たのだ。そして言った。昨夜、公園で渡辺を見たと。雪の降る中、渡辺はブランコを揺すりながらなにやら歌を歌っていたというのだ。渡辺はほのぼのと笑みを浮かべていた。

♪いのち短し 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 
熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日はないものを 
いのち短し 恋せよ乙女 黒髪の色 あせぬ間に
心のほのお 消えぬ間に 今日はふたたび来ぬものを♪

ブランコを揺すりながらの歌、泣ける感動するシーンですね。
53歳の男って最近じゃもっと若々しいですがね。
あんなに老人ではないのだが。

by e_jovanni | 2006-12-03 01:39 | 映画

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