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人間の仕事 その4「つながり」   

亡くなった人の思いを引き継いで行くのは、有形、無形を問わず大事な事だと思いますが、目に見える形が変わろうとも心の中に思いを引き継いで全く違った形で華を咲かせても良いのだと思います。
今日のメールの中でいい言葉があったので拝借します。
年賀状に書かれていたそうで、今の話にも繋がってきますのでちょっとだけ引用します。


みんな与えてもらったもの
みんな教えてもらったこと

誰もが私一人の力で生まれてきたわけではない
誰もが私一人の力で生きてきたわけではない

いつのまにか、その事を忘れて、日暮らししている私がいた

今、私が私として成り立っている。
その歴史.背景には、大いなる”いのちの物語”がある。
そこには”他のあらゆるいのちとのつながり”がある。



たまたま、話に田中一村の名前が出て来ましたので田中一村氏の写真、作品(すごく不思議な絵ですね)を掲載しています。

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「つながり」


 皆さんにとって、自分の人生がそういう人達の思いを引き受けて生きることによって、自分自身の人生の意味だけではなく、自分が生きたことによって自分を生み出した世界が輝くんだということを自覚して感じてもらえるようになってきたら、自分の生きている姿がどのようであっても、自分が生きていることの尊さが知られると思うんです。生きて生きて、苦しんで、様々な悩みに悩むかもしれませんが、その時間を一生懸命生きていることが自分を通して世界を輝かす仕事をするんだということです。そういう仕事として人間の仕事がある。人間の仕事はただ生きて、次のものに渡すというだけではなく、先に死んでいった人達の人生を引き受けて、その事によって自分自身が一つの核となって世界を輝かせるという仕事を人間はするんだという自覚を持って、人間の仕事の上に一人ひとりの日常的な活動が、もう一回とらえ直されたら、そこに別の人生が見えてくるはずです。


人間の仕事 その4「つながり」_d0040314_21552964.jpg 残されている時間はそう長くはありません、皆さんにとっても。僕にとっても長くはない。もう百年もないですね。百年は長いと思うかもしれない。でも百年というのはあっという間です。十年、二十年があっという間であるのと同じように、これから残された時間は短い。短い時間をかけて自分の人生の中に、亡くなっていった人の思いをどこまで引き受けて生きられるか、そういうことが問われているんです。そのことによって、人が人ということではなく「人間」という存在に変わる。人間というのは人の間と書きますが、人と人との間で、私とあなたの間だと思う。私とあなたの間以上に、私と亡くなっていった人、私と次に来る人達との間、そこに存在するのも人間なんです。


 私が死んで次に来る人との間にあるもの。あなたたちにとっては、これから家庭を持たれて、一緒に生きていくという意味の子供ではない。あなた達が亡くなった後、生きていかなければならない子供です。自分の子供ではなくても、私たちが死んでいった後、次の時代を生きていかなければならない子供です。その子供たちとの間に、本当の意味での人間という存在を感ずるためには、私たちが、私たちが生まれてくる前の時代に生きた人との間を感じなければならない。そこに人間がある。人間はただ単に一緒に生きているだけではない。繋がり続けて生きている。繋がりは横につながっていくだけではない。時間を超えて、昔から今、今から明日という形で時間を超えてつながっているのが人間だからです。


 たとえ人間がこのまま滅びていったとしても、その最後の一人になるまでつながり続けているのが人間です。人間という種族がいつまで続くかということは分かりませんが、やがては地球は滅びるのと同じように人間も滅びていくんでしょうが、最後の一人になるまでつながっていくことが人間ということの意味です。つながっていくことにおいて、人間が滅びきるまで人間は人間という存在を全うしたということにおいて、人間の存在を生み出したことによって、命というものが世界に現れたということを刻むことは、もっと大きな命の仕事です。人間の仕事ということと同時に命の仕事ということがありますが、命の仕事は命の世界が現れたことを知る仕事です。



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その5....「引き継がれるべきもの」に続く

by e_jovanni | 2006-01-10 22:41 | 人間の仕事

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